iOS 5は6日、iOS Developer Programの会員向けにベータ版がリリースされた。正式版は今年秋に一般ユーザーの手に渡る見通しだ。
それでは、iOS 5で搭載が予定されている注目の新機能を詳しく見ていこう。
通知
iOS 5の新機能の中で、刷新された「通知システム」ほど歓迎されるものはないだろう。従来の通知システムでは、通知は受信のたびにポップアップ表示されていたが、iOS 5では、すべての通知を集約して表示する「Notification Center」が導入される。
フォーストール氏がこの機能を紹介すると、会場に詰めかけた開発者から歓声が上がった。Notification Centerは、デバイス上部のメニューからシングル・スワイプでいつでもアクセスできる。この操作で呼び出すと、Notification Centerは不在着信、ボイスメール、テキスト・メッセージ、プッシュ通知、さらには最新の株価情報や気象情報などを一覧表示してくれるのだ。
Notification Centerから、それまで表示していたアプリにすぐに戻ったり、通知のあったアプリケーションにすぐに切り替えたりすることもできる。小さな「X」をタップすると、通知はクリアされる。通知はロックされた画面にも表示され、1回スワイプすると、通知のあったアプリケーションを起動することができる。
Newsstand
フォーストール氏は、「主要な雑誌出版社のほとんどや多くの新聞」が、「App Store」で定期購読を受け付けていると語った。「Newsstand」は、こうした定期刊行物にアクセスしてダウンロードするための新しいアプリだ。このアプリは、主に雑誌や新聞を扱うこと以外は、Appleの既存の「iBooks」アプリによく似ている。定期購読している新聞や雑誌の最新号が刊行されると、自動的にダウンロードされる。
Twitterとの連携
フォーストール氏によると、現在、1週間当たりのツイート件数は10億件を超えているという。iOS 5では、新たに「Twitter」へのシングルサインオン・サポートが提供され、設定アプリでログインの詳細を構成できる。理論上、サードパーティ製Twitterクライアントも、iOSユーザーのログインの詳細にアクセスできるようになり、iOSユーザーにあらためてサインインを求める必要がなくなるはずだ。
さらに、Appleのいくつかのアプリ(写真、カメラ、Safari、YouTube、マップなど)も、Twitterとの直接連携をサポートするため、ユーザーはこれらのアプリから自分のTwitterアカウントにすばやくデータを投稿できるようになる。Twitterを使って、連絡先の写真やTwitterユーザー名を自動的に更新することも可能になる。
Safari
フォーストール氏は、「Safari」のオープンソースWebエンジンは、モバイル・ブラウザの90%で利用されていると述べた。モバイルSafariの新機能の1つである「Safari Reader」では、デスクトップ版Safariで提供される同様の機能のように、記事からナビゲーション要素や広告などを除いて、テキストだけを入手できる(入手したテキストの共有も可能)。
また、あとで読むために記事を保存する手軽な方法である「Reading List」も新たに用意される。Reading List内のアイテムは、自分のすべてのiOSデバイスに自動的に現れるほか、Mac用およびPC用のSafariとも共有できる。
さらに、iOS 5では、モバイルSafariに初めてタブ・ブラウジング機能が搭載され、デスクトップ版Safariと同じようにタブが使えるようになる。タブ・ブラウジングが可能なのは、今のところiPadだけに限られるようだ(iPhoneは、画面が小さいためと見られる)。
Reminders
App Storeでは、リマインダ・アプリが豊富に提供されているが、iOS 5には新たに「Reminders」アプリが搭載される。このアプリではさまざまなタスク・リストがサポートされ、時間や場所に基づくアラートを設定することができる。
場所に基づくアラートは特に便利だ。特定の場所への到着時、あるいはそこからの出発時に、行うべきタスクを知らせてくれる。Remindersは検索も可能であるほか、Mac上の「iCal」やWindows上の「Outlook」と同期を取ることもできる。
カメラ、写真
iPhone 4のカメラは、「Flickr」上で2番目によく使われているカメラであり、最も使われている携帯電話カメラだと、フォーストール氏は語った。iOS 5では、iOS 4以前のショートカットの再実装により、ロック画面からすばやく写真が撮れるようになる。このショートカットは、ロック画面からホーム・ボタンをダブルタップしてカメラ・アプリを立ち上げ、画面上のシャッター・ボタンの代わりに音量アップ・ボタンを使って写真を撮るというものだ。
また、カメラ・アプリでは、オプションのグリッド・ラインを使って写真の構図を決定することもできる。写真アプリでは、切り取り、回転、エンハンス、赤目除去といった編集機能も用意される。
Mail
フォーストール氏は、「MailはiOSデバイスで一番使われているアプリの1つ」だと述べた。iOS 5のMailでは、リッチ・テキスト・フォーマット(太字、斜体、下線など)を利用したり、アドレスをアドレス・フィールド間でドラッグしたり、全文検索をしたりすることができるようになる。Appleによると、デバイスにダウンロードされておらず、サーバ上にあるメッセージも全文検索の対象になるという。
また、iPadでは、ポートレートモード時に、スワイプでメールボックスを表示できるようになる。
PCを不要にする機能
フォーストール氏は、「人々は、コンピュータに接続する必要のないiPhoneやiPadを求めている」と強調した。iOS 5から、iPhoneの電源を初めて入れると、セットアップ画面が表示され、そのままデバイスだけでアクティベートできるようになる。
また、iOSソフトウェア・アップデートは無線で送信され、シングルタップでインストールできるようになり、「iTunes」の同期機能でiOS最新版を導入する必要はなくなる。また、iOSデバイスをPCに接続してメディアを同期する必要もなくなるほか、差分アップデート(変更されたコードのみを含む)のおかげで、iOSアプリのアップデートは、サイズが大幅に小さくなる。
フォーストール氏は、ケーブルでPCにつなぐ必要をなくす狙いの1つは、人々がiOSデバイスを使う代わりにPCに戻るといった状況をなくすことにあると説明した。
Game Center
フォーストール氏は、iOSは世界で最も人気のあるゲーム・プラットフォームであり、Appleの「Game Center」アプリは、リリースから9カ月しか経っていないが、5,000万人のユーザーを獲得していると語った(米国MicrosoftのXbox Liveは8年前にリリースされたが、ユーザー数は3,000万人)。
Game Centerでは、写真をプロフィールに追加したり、Game Center内から新しいゲームを購入したり、友人と得点を比較したりできるようになるほか、友人や新しいゲームを探すための簡単な方法も提供される。
iMessage
iOS 5では、Messagesアプリに「iMessage」という新しいメッセージング機能が組み込まれる。この機能により、ほかのiOS 5デバイス上の人やグループに、テキスト・メッセージ、写真、ビデオ、連絡先情報を簡単に送れる。また、iMessageでは、配信通知と既読通知、入力中表示、安全なエンドツーエンドの暗号化といった機能も利用できる。
従来のテキスト・メッセージングとは異なり、iMessageのメッセージは、iOS 5デバイス間でのみ送信できる。すべてのiOS 5デバイスに自動的にプッシュされるため、iPhone、iPad、iPod touch間で簡単に1つの会話を維持できる。また、もちろんiMessageは、iOS 5の新しい通知システムを採用している。
これらは序の口
フォーストール氏によると、これらは、iOS 5の200の新機能のうち10個にすぎない。同氏はこれらのほかにも、「AirPlay Mirroring」(iPad 2上でのすべての作業を、Apple TVを通じて無線でHDTVに表示できる)、「Wi-Fi Sync」(コンテンツをSSLで安全に転送、バックアップし、購入したコンテンツをデバイスからiTunesライブラリに無線で同期できる)、新しいマルチタッチ・ジェスチャによるアプリ間のフリック、新しいiPad Musicアプリ、個人辞書サポート、1時間ごとの天気予報、タイピング・ショートカット、マップ上での代替ルートなどをスライドで駆け足で紹介した。
フォーストール氏は、iOS 5はすべてのiPad、iPhone 3GSと4、第3、4世代のiPod touchをサポートすると述べた。
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