マイクロソフトのデスクトップPC向けOSの最新版「Windows 7」のService Pack 1(以下、SP1)が提供されたことに伴い、Windows 7をベースとする組み込みOS「Windows Embedded Standard 7(以下、WES7)」でも、SP1に対応したバージョンがリリースされました。
WES7 SP1には、ToolkitのアップデートとWindows 7 SP1で提供される900以上のHotfixおよびSecurity Updateの全てが含まれています。マイクロソフトのWebサイトの「Windows 7およびWindows Server 2008 R2 Service Pack 1のドキュメント」に、HotfixおよびSecurity Updateのリストが公開されていますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
Windows Embedded Standard 7 Service Pack 1のダウンロード(Windows Embedded Free Trial)
http://www.microsoft.com/windowsembedded/en-us/downloads/download-windows-embedded-standard-7-trial.aspx
Windows 7およびWindows Server 2008 R2 Service Pack 1のドキュメント
http://www.microsoft.com/downloads/en/details.aspx?FamilyID=61924cea-83fe-46e9-96d8-027ae59ddc11&displaylang=en
なお、WES7とWES7 SP1のDistribution Share(以下、DS)は、共存させることが可能です。表1にデフォルトのDS格納先を示します。
WES7(x86) (インストール先フォルダ)\DS
WES7(x64) (インストール先フォルダ)\DS64
WES7 SP1(x86) (インストール先フォルダ)\DS SP1
WES7 SP1(x64) (インストール先フォルダ)\DS64SP1
1.新しいバージョンの「Remote Desktop Protocol」に対応
シンクライアント端末などの開発では、Remote Desktop Connection機能を搭載することが多いと思いますが、この機能で使用される「Remote Desktop Protocol」のバージョンが、WES7 SP1で"7.1"となり、「Remote FX」に対応しました。
Remote FXに関する詳細な解説はここでは割愛しますが、一言でいうと「リモートデスクトップ機能を拡張するもの」です。Windows Server 2008 R2 SP1を使用したデスクトップ仮想化環境において、3Dレンダリングの性能向上や、クライアント側接続USBデバイスのリダイレクト機能(RemoteFX USB Redirection)などが提供されます。
関連リンク:
⇒ Remote Desktop Services(Terminal Services) Team Blog
2.SDカードブートへの対応
Embedded Enabling Featureパッケージの1つとして、WES7 SP1では、SDカードからのブートが可能となる「SD Bootパッケージ」が追加されました。
SDカードブートの実現により、HDDと比べ"省スペース化""省電力化"が期待できます。ただし、ハードウェアおよびBIOSがSDカードからのブートをサポートしている必要があります。
なお、SD Bootの使用には"ライセンス上の制限"がありますのでご注意ください。
3.SKUのサポート
WES7 SP1から、新しく「SKU Complianceパッケージ」が追加されました(図1)。
WES7には、3種類のランタイムライセンス(SKU:Stock Keeping Unit/製品構成)が存在し、それぞれで使用できるパッケージ(機能)が限定されています。
今回追加されたSKU ComplianceパッケージをOSイメージに含めておくと、購入したライセンスで使用してはならないパッケージを自動的に検知してくれます。
なお、WES7 SP1のSKUと使用できるコンポーネントに関しては、Webサイトに詳細が記載されていますので、ご確認ください。
Windows Embedded Standard 7 SP1 OS Components
http://www.microsoft.com/windowsembedded/en-us/develop/windows-embedded-standard-7-os-components.aspx
4.「Windows Embedded Developer Update」について
「Windows Embedded Developer Update(以下、WEDU)」は、WES7のToolkitおよびDistribution Shareを更新するツールです。
現在、WES7 SP1に対応したWEDU 1.1がリリースされています。Webサイトからダウンロード可能です。
Windows Embedded Developer Update 1.1
http://www.microsoft.com/downloads/en/details.aspx?FamilyID=83B4DC0F-BBA4-4B97-AD83-E852A5E2C142&displaylang=en
また、WES7用のWEDU 1.0をインストール済みの場合は、Windows Update経由で更新することも可能です。
使い方はとても簡単です。まず、左側のツリーから[Windows Embedded Standard 7]を選択し、右側のリストで「Distribution Share」フォルダを登録します。
次に、左側のツリーから[Registered Products]を選択し、[Check for Updates]ボタンをクリックすると、ToolkitもしくはDistribution Shareに対するアップデートのチェックがインターネット経由で行われます。
アップデートがあれば、左側のツリー内にそれぞれアップデートの個数が表示されます。ツリーでアップデートが存在する項目を選択すると、右側のリストにアップデートの一覧が表示されます。インストールするアップデートを選択し、[Download and Install]ボタンをクリックするだけで、自動的にダウンロードとインストールが行われます。
なお、このセキュリティアップデートは、[Validate]メニューの[Add Required Packages]を実行しても、Answer Fileに自動的に追加されませんのでご注意ください。Answer Fileに含める場合は、通常のパッケージ同様、右クリックメニューの[Add to Answer File]を選択するなど、手動で追加する必要があります。
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