NECモバイリングは6月1日、スマートフォン専門店「AND market 霞が関」を東京千代田区の霞が関ビルディング1階にオープンさせる。
同店はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの3キャリアのスマートフォンとタブレットに加え、データ端末やノートPC、PSP、ニンテンドーDSなどのWi-Fi対応機器、液晶シートや端末カバーなどのアクセサリー、スタンドや外付けキーボードといった周辺機器を取り揃えるショップ。スマートフォンの新しい販売方法と、サポート体制を確立するために企画されたトライアル店舗だ。
運営するNECモバイリングは、全国で「ドコモショップ」を経営する携帯電話の大手販売代理店。KDDIやソフトバンクモバイルなど、複数キャリアの携帯電話を販売する併売店も数店舗を運営するが、国内3キャリアの垣根を超えてスマートフォンやタブレットを専門に扱う業態は、このAND marketが初めての試み。将来的にはイー・モバイルやUQコミュニケーションズの製品も取り扱う。
スマートフォン専門店らしく、端末ごとのスペックや対応サービスの違い、月々の料金プランや割賦金額などをタブレット上のアプリで説明するのが大きな特徴だ。接客時には店員がiPadを使って説明するほか、店内に備え付けられたiPadを来店者が自ら操作して製品を比較したり、端末にあったアクセサリーや周辺機器を注文できる。
スマートフォンは製品選びや契約時に説明する要素が多岐に渡るため、従来のような紙の資料と店員のトークでは時間がかかるケースが増えており、タブレットを使って説明することで時間の短縮とサービスの平準化を図る狙いがある。また、3GとWi-Fiの通信速度の違いや、GPSを使った地図表示や動画視聴のイメージなど、ビジュアルに訴える分かりやすい商品説明も可能になるという。そのため、説明用のカウンターがないなど、見た目でもキャリアショップとの違いは大きい。
店頭では製品の販売だけでなく、機種変更時のデータ移行やメール設定を無償で提供するほか、画像や音楽コンテンツの移行、購入後のOSアップデートやセキュリティソフトのインストールなど、使っていくうちに必要な操作もレクチャーし、場合によっては1件1000円で代行する。さらに、より高度な技術的相談や法人契約などについては、VCS(ビジュアルコンシェルジュサービス)と呼ばれる同社のテレビ電話システムを使った遠隔サポートを提供。より専門的な知識を持ったオペレーターが問題解決を支援する。
AND marketのもう1つの特徴が、「らくサポ」という独自のサポートサービスの提供だ。これは月額525円で会員になれば、何度でも電話サポートが受けられるというもの。トラブル時の診断や対処法はもちろん、スマートフォンの活用相談やアプリの選びかた、無線LANの設定方法を相談できる。また、セキュリティソフト(800円相当)の無償提供やクーポンサービス、公衆無線LANサービス(380円)なども含まれている。NECモバイルリングによると、販売店が独自のサポートサービスを販売するのは、業界初とのことだ。
また、スマートフォンの購入者は関連アクセサリーや周辺機器を同時に購入する傾向が高いという違いもある。「スマートフォン選びはファッション的な要素も強くなってきており、端末を購入したついでにケースも合わせて選ぶ方が多い。『AND market』という店名には、スマートフォンだけでなくアクセサリーや周辺機器、サポートなどを合わせて買っていただけるという意味もある」(西川氏)という。AND marketではユーザー属性に加えて購買動向を分析し今後の品揃えに生かす方針で、こうしたマーケティングはキャリアショップでは行っていないという。
NECモバイリングは、AND marketで培ったノウハウを自社の直営店やフランチャイズ先に広げることで、事業の拡大を目指す方針だ。まずは、年度内に3店舗を都内にオープンさせる。実は1号店がある霞が関ビルディングは、NECモバイリングが入居するオフィスビルで、新業態のトライアルだけでなく業界関係者へのPRという役割も持っている。そのため、一般の消費者向けの旗艦店の設立を別に予定している。
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