2011年5月15日日曜日

Webのトレンド

Webはいつしか、人と人、もしくは企業やブランド間のコミュニケーションをフォローするメインストリームとなってきました。スマートフォン、タッチパッド、キオスク端末、ゲーム機などが世に輩出され、これまで端末ごとに完結していたサービスやデータ、情報もついにユナイトし始めました。Web業界においても、1つの流れがここで集結し、新たなステージへパラダイムシフトしています。

Web制作の領域

Web制作の領域ってどこまでですか

と問われると、サイト構築ではコーポレート・ブランドサイト制作、ECサイト制作、ケータイサイト制作、プロモーションサイトやバナー制作などが挙げられます。さらに、メールマガジンなどのメールマーケティング、アクセスログ解析や市場調査、マイニングをはじめとしたマーケティングの分野も関係し、ブランディング、クロスメディア戦略、ビジネス戦略なども除外できません。このような広範囲に渡る領域で制作者に求められるものは、手法や技術の知識、人を説得させるための話術と企画、制作するための技術、そして経験値と勘になると思います。おそらく、みなさんも異論なく納得できるでしょう。

今の世の中、街中でラップトップや携帯端末を広げれば、無線LANを通じていろいろな情報が飛び込んできます。ICカードリーダーしかり、エアタグを使った「セカイカメラ」しかり。また、自分の保管する自己情報は、PCや携帯端末とも連動できます。それに加えて、GPSなどの位置情報、コンパス情報、端末の揺れや傾きに反応するセンサーなどから得た自身の情報は、ホストコンピュータへと送信して解析され、情報にあったリプライやアクションとして返信されるわけです。

このように、周りを見渡しただけでも、あらゆる情報やサービスがインターネットを媒介してさまざまな端末に共有されていることに気がつくはずです。そんななか、「我々Web制作者の仕事の領域ってどこまでなのだろうか?」と改めて考えると、それはそれは恐ろしくなる反面、武者震いがしてなりません。

いわゆる「ブラウザの時代」は終わった

今まで、我々が取り組んでいたWeb制作というとIE、Firefox、SafariなどのWebブラウザ内で上から下へスクロールして閲覧できるコンテンツ制作を指していたと思います。しかし、昨今のイノベーションのなか、デジタルサイネージ、電化製品、携帯端末(スマートフォン)、タッチパネル、タブレット、地デジ(地上デジタルテレビ放送)、ICカードなど、あらゆる端末がインターネットというインフラ(HTMLプロトコル)を通してつながっており、情報表示がシームレスになってきています。

これらは、今までWebブラウザのように、ボタンや枠があって、スクロールして……といった機能が必ずしも統一されていません。ですが、それらすべては我々の仕事領域です。

このような状況下で、Web制作者として、この時代の変化のポイントを押さえておく必要があると考えます。その重要となるポイントは、次の3つです。

クラウドコンピューティング上における、サービス/情報の集約


クラウドコンピューティングの概念では、最低限の接続環境さえ用意すれば、インターネット上のサービスを通じてさまざまな機能を使うことができます。雲のようにインターネット上に散らばるアプリケーションやサービスの活用、そして自分に関連するさまざまなデータを集約したり、二次利用したりといったことが次のフェイズのポイントとなっていくでしょう。


自由(人間中心)なインターフェイス設計


人間工学や認知工学などに基づいた「人間中心設計(HCD:Human Centered
Design)」という考え方が注目されています。これは「使う人間のためのものづくり」という意味ですが、Webサイトでも、使う側に思考を求めることなく、直感的に操作できるようなインターフェイスデザインを意識していくべきでしょう。エンターテイメント性を含めたアイデア技術は常にイノベーションを起こしていきますが、いつの時代でも変わらず重要なのはアイデアです。使い勝手などの利便性を追求していくことは進化を遂げるうえでとても価値のあることですが、ストレスが皆無となった使い心地は退屈という側面も持っています。エンターテイメント性も兼ね備えたアイデアで、核となるコンテンツを充実させなければ、どんなに技術が進化しても意味がないのです。この10年あまりでWeb業界は大きく変化しました。数年前にユビキタスという言葉が流行りましたが、今こそ本当の意味での「ユビキタスコンピューティング」社会が到来しています。これからのWebに求められる重要な役割今後Web制作の現場で重要視される役割についてもお伝えします。これまで、広告プロモーションのなかで1つのパートとして位置づけられることが多かったWeb施策が、昨今ではプロモーション戦略全体の中心として考えられるようになってきました。テレビCMや広告などと連動して展開されるだけでなく、マスメディアや自社メディア、そしてソーシャルメディア、店頭、カスタマーサービスなど、さまざまな顧客接点がWebを中心に牽引される形が現実のものとなってきています。今後、Web施策の重要性はさらに高まっていくと同時に、コミュニケーション全体を見据えてWebサイトを作る能力が求められています。従来とは違うWeb制作の能力として、今後どのような能力が求められるようになっていくのか、実際に紹介していきましょう。Webストラテジスト/マーケッター企業のWeb戦略を正しく理解したうえで、広いマーケット知識を持ってサイトやコンテンツ戦略を考える役割です。Web戦略は、本来は施策を行う企業側が考えていくべきことなのですが、Web施策について熟知する人材がサポートすることが多いのも現状です。従来は短期的な視点での結果を求められることが多かったWeb施策ですが、これからは中長期的な視点でROIを見据え、ブランドを形成していくために有効なプランを立案することが必要とされています。コンテンツマスター/情報キュレーターインタラクティブ性を踏まえてコンテンツを考えたり編集したりするだけでなく、広い意味でのWeb施策、そして、日、週、月、年という広いスパンでユーザーとのコミュニケーションの編成を考えていく役割です。現状では、企業からの一方的なメッセージが市場に受け入れられないケースも少なくありません。そんななかで、あらゆる施策実行に対して、ユーザーや市場の動向を見ながらコンテンツの入れ替えや修正ができたり、情報やコンテンツの選定、投入を自在に操ることでより良い結果を導いてくれるキュレーションのポジションも重要になってきています。シナリオライターシナリオライターとは、さまざまな入り口からサイトのなかに入ってくる人に対して、それぞれにユーザーシナリオをつくり上げ、巧みにブランドを伝えていく、ストーリーテラー的な役割です。Webの特性には、ユーザーの入り口(サイトに入ってくるきっかけ)がばらばらだということがあります。キャンペーンやビルボードを見てランディングしてくる人もいれば、トップページを飛び越えて検索エンジンから検索キーワードに関連したページへいきなり入ってくる人、テレビやコミュニティサイトの評判から入ってくる人など、さまざまです。しかし、入り口は違っても、すべての人へブランドの価値観を与えていくことが重要なのに変わりありません。クリエイティブディレクター/演出家クリエイティブディレクターとは、広告制作の現場において最も中心的役割であり、どのような表現で広告展開を行っていくのか、具体的な表現コンセプトを考えていく仕事です。クリエイティブディレクターの下で、アートディレクターやCMディレクター、Webプロデューサーが、それぞれのメディア表現を実際の形に具現化していきます。これまでクリエイティブディレクターには、CMプランナーやコピーライター、グラフィックのアートディレクターなどの素地を持つ人材が多かったのですが、前述のようにWebがプロモーション戦略の中心に位置づけられてきている今、Web制作のプロとして経験を重ねた人材がこの役割を担う必要性を強く感じています。またクロスメディアにおける制作物をアトラクティブに演出する演出家のニーズもとても多い状況です。コミュニティマネージャーCGMやSNS、Twitter/facebookなどのソーシャルメディアを、自社サービスや商品のプロモーションだけでなく商品開発の場として取り入れる企業が増えてきています。その流れにおいて重用視されているのが、ソーシャルメディア上で実際に一般消費者に個別対応し、企業の顔となってさまざまな意見や声に応えていくコミュニティマネージャーという役割です。すでに海外の企業を中心に、コミュニティマネージャーと呼ばれる役割が確立されています。コミュニティマネージャーは、企業の顔となって一般消費者と直接向き合う大切な役割なので、本来は企業側が自社内で人員を配置することがベストなのですが、日本ではまだ、Webメディアを熟知した業界の人材によるサポートを必要とする企業が多いのも事実です。

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